こんにちは、アロハ父さんです。
孫正義さんの大ファンで、ソフトバンクG株を2000株保有しています。
世界最先端のビジネスモデルを勉強するための、ソフトバンクビジョンファンドシリーズ。
8社目の今回は、ベトナムのユニコーンでフィンテック企業のVNLIFEを紹介します。
高い経済成長を続けているベトナムに注目!
ソフトバンクビジョンファンドの主な投資先国は米国と中国だから、今回の投資先であるベトナムは少し異質だよね。
実は、すごく興味があったんだよね。ベトナムには9700万人もの人口がいて、経済成長率がASEANの中でも目立っている。まぁ、このグラフを見れば、伸びしろの予想はつくよね。
ベトナムは、
1.体力のある若年層の人口が多く労働人口が豊富である
2.中国に比べ、雇用コストを安く抑えられる
ことからも、雇用増加の賃金上昇→個人消費の拡大につながっていくと考えられます。
同時に、急成長しているキャッシュレス決済市場にも注目です。
私が8年前に、ホーチミンに行ったときは、キャッシュレスどころか、露店で値切り交渉がざらにあったけど、現金のやり取りはドンドン少なくなっていきそうね。
2019年時点で11.5%とキャッシュレス後進国と言われていましたが、政府のキャッシュレス化計画やスマートフォンの普及により、QRコード決済が急速に普及しています。
【VNLIFEの基本情報】
企業名 | VNLIFE |
事業内容 | QR決済のVNPAYを傘下に持つデジタルエコシステム構築を使命とする持ち株会社 |
創業 | 2007年 |
創業者 | Mai Thanh Binh(41歳) |
展開国 | ベトナム |
CEO | Tran TriManh(会長職) |
SVF出資額 | 2億ドル(19.6%) |
評価額 | 10億ドル規模(2020年11月時点) |
「デジタルエコシステム」と聞くと、アント・ファイナンシャルを思い出しますが、VNLIFEも、決済システムを通じて、顧客に関するあらゆるデータを収集し、それらを活用することでサービスの価値を上げていく事業を担っています。
デジタルエコシステムの構築には、もちろん、AIが必須!
【VNLIFEのビジネスモデル】エコシステムの肝は銀行アプリ
VNLIFEは、AIを活用して、銀行業務、デジタル決済、オンライン旅行、新しい小売の4つのコア領域で動作する多様なエコシステムを開発しています。
中でも、「銀行アプリ」は毎月1,500万人以上が使用しているんだけど、このアプリを使って、支払い、送金、モバイルクレジットに加えて、例えばバスチケットの予約や食料品の買い物などができる。
自ずと、顧客の決済データが入ってくるよね。しかも、「どのくらいバスに乗ったか」、「どんな食料品を買ったか」という日常の行動記録まで把握できちゃうってことだよね。
VNPayはAgribank、Vietcombank、VietinBank、BIDVなどの主要な銀行を含む国内の22の銀行にもモバイルアプリを提供しています。
VNPayは、銀行パートナーごとに1つのアプリを作成しているところが賢いと思う。VNPayの利用者数だけではなく、銀行アプリの利用者情報もVNLIFEが得られることになる。
銀行のシステムと深く統合することで、銀行アプリを通じたサービスを幅広く提供することができ、消費者データをどんどん蓄積していくでしょう。
消費者の金融・生活に関するデータが増えていくほど、提供していくサービスも増えていき、またデータが貯まっていく・・・。
まさに強力なエコシステムができあがると思う!
VNLIFEはカンボジアやミャンマーの銀行と協力しており、ASEAN諸国への浸透も期待されています。
【VNLIFEの将来性】VNPAYのシェア拡大は時間の問題
VNLIFEの子会社であるVNPAYは、広大なQRコード決済ネットワークを強みとしています。
ベトナムのモバイル決済市場の総取引額は2019年に27.5兆円、2027年までに300兆円になることが予想されています(CAGR:30.2%)2)。
ベトナムの銀行口座の保有率は約4000万人と国民の半数以下に留まりますが、あと5~10年で80%に達すると言われており、銀行アプリでのモバイル決済システムを押さえて情報を得ることができるVNPayに優位性がでてくることが期待できます。
「銀行アプリ」という点での安心感と、それ一つですべての支払い・決済が賄える便利さから、VNPayの使用を中心とする生活になっていくのかな。
ビジョンファンドから多額の資金支援を受けたから、日本のPayPayのようにキャンペーンによってシェアの拡大戦略もあり得るね。
ちなみに、VNLIFEは、2015年に、交通機関やホテル、チケットなどの予約を行う旅行会社「VNTravel」を立ち上げています。
ベトナム航空のモバイルアプリまで運営しており、ベトナムでは権威あるAndroidの旅行アプリの1つとなっているようです。
日常の生活に加えて、旅行の決済までもカバーしようってわけか。
国内だけでも伸びしろが見込めそうですが、ビジネスモデルに鑑みると、ASEAN進出の可能性も期待できると思います。
一見地味なビジネスモデルですが、お国柄事情もあるでしょうし、孫さんはVNPayのビジネスモデルに優位性を見いだしたのだと思います。
でなければ、わざわざ首位ではない会社に投資しないでしょう。
【VNLIFEの課題】競合他社の存在
ベトナムのモバイル決済市場のプレイヤーは30を超えており、熾烈なシェア争いが繰り広げられています。
現時点、ベトナムのシェアNo.1モバイル決済会社はMoMoです。
スーパーマーケットチェーン、コンビニエンスストア、コーヒーショップチェーン、ガソリンスタンドなど、多くのユニコーン企業がMoMoの決済システムを取り入れています。
また、Tencent出資が出資しているVNGのZaloPayもVNPAYよりも高いシェアを持っています。
いずれも強力なライバルだと思いますが、そもそもその地域のNo.1企業にしか投資しないと宣言していた孫さんです。
今はPaymentで首位でなくても、いずれは大きなシェアを獲得してくることを期待しての投資でしょう。
銀行との提携が鍵なのかもしれませんね。
まとめと所感
ビジョンファンドの主な投資先は米国と中国ですが、今回はベトナムの投資先であるVNLIFEを取り上げました。
主要事業であるVNPayは今はベトナムで首位ではありませんが、ビジョンファンドの出資によって、どのような戦略と結果を出してくるのか楽しみにしたいと思います。
ビジネスモデルが優れていて優秀な経営者が率いれば、いずれ結果はついてくるさ!
それでは、アロハ!
参考文献
- “Vietnam’s Newest Unicorn Fintech, Part Of Mobile Payment Companies”, May 11,2021. <https://finfan.vn/News/vietnam-s-newest-unicorn-fintech-part-of-mobile-payment-companies-671>
- <https://www.alliedmarketresearch.com/vietnam-mobile-payment-market>
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