こんにちは、モアナ母さんです。
我が家は、将来有望なAIカンパニーへの投資会社「ソフトバンクG」の株を2000株保有しています。
世界最先端のビジネスモデルを勉強するための、ソフトバンクビジョンファンドシリーズ。
第14弾となる今回は、インドの保険比較サイトPolicy Bazaar(ポリシーバザール)を紹介します。
インドでは、新型コロナの感染者数と死者数が急増したことで、若者が生保契約に殺到しているようです。
ポリシーバザールによると、コロナ感染第2波が最も激しかった今年4、5月に25~35歳の年齢層による定期保険の加入数は、その前の3カ月の合計と比べて30%増加。
最近は、自動車の購入や将来に備えた財産管理などのために保険に興味を持ちだした若年層が増えてきたようですね。インド人の多くが保険未加入なので、保険業界には大きなビジネスチャンスがありそう!
【Policy Bazaar(ポリシーバザール)の基本情報】
企業名 | Policy Bazaar(ポリシーバザール) |
事業内容 | オンライン保険トータルサービス (保険契約の価格比較、保険契約の解約・更新やクレーム処理のサポート) |
創業 | Yashish Dahiya, Alok Bansal, and Avaneesh Nirjar(2008年) |
展開国 | インド |
CEO | Sarbvir Singh(2020年2月~) (それまでは創業者Yashish Dahiya) |
評価額 | 35億ドル余り(Bloomberg, 2021) |
年内上場を目指すポリシーバザールのIPO規模は最大601億8000万ルピー(約890億円)と言われています。(8月2日, Bloomberg)
人が保険に加入する目的は、人生の不測の事態や緊急事態に備えた経済的防御。リスクやキャッシュフローの不確実性からは、良い投資手段と考える人もいます。
一方で、保険を販売する代理店は、顧客の要求を優先することより、利益と手数料のために保険を販売することも。保険業界の不透明さが、代理店からの保険加入を躊躇してしまう理由になっていますね。
創業者のYashish がポリシーバザールを立ち上げるきっかけとなったのも、彼の父が、保険代理店に数百ルピーを騙し取られていた過去があったからのようです。
Yashishは、インドの保険契約内容に透明性と説明責任をもたらすべく、保険の価格、品質、その他の重要な特徴に基づいて分析、比較し、購入をサポートするためのするための「保険情報プラットフォームサービス」を提供する、ポリシーバザールを2008年に創設。
Yashish Dahiyaは、IIT Delhiで工学の学士号を取得(1994年)、IIM Ahmedabadで経営のポストグラデュエートディプロマを取得(1996年)、INSEADでMBAを取得(2001年)と学歴も高いですね。
【Policy Bazaar(ポリシーバザール)のビジネスモデル】
顧客満足度の高い「保険情報プラットフォームサービス」
ポリシーバザールは、インドで有数の保険商品のマーケットプレイスを提供。
生命保険、健康保険、自動車保険などの保険契約、価格比較や保険関連情報の提供だけでなく、保険契約の解約・更新やクレーム処理のサポートも行っています。
ポリシーバザールは保険ブローカーと提携し、250以上の保険プランと約50の保険ブランドから、顧客が価格、特典、保険内容などの情報を比較し、自分のニーズに合ったものを購入できるように、数々の技術を駆使し、顧客満足度を向上させています。
✔「My Account」機能:顧客が簡単に保険証券をダウンロードしたり、チケットを発行したり、保険証券をアップグレードしたりすることが可能。
✔社内AIチャットボット「PBee」:Amazon Polly(AIディープラーニング技術を使用した、Amazonのテキスト読み上げサービス)を採用。
✔モバイルアプリ:保険の検索、比較、購入だけでなく、病院検索、ガレージ検索、保険料計算、保険契約の即時更新、クレームアシスタンスなどの利用が可能。
一見、そこまで目新しい技術ではなさそうですが、「インド」という発展途上かつ人口の多い国では、いかに上記のデータを先んじて取って活用していくかが成長力のカギになると思います。
ポリシーバザールの収益モデル
ポリシーバザールは、保険会社のためのリードの生成、広告、および保険契約の販売によって収益を上げています。
2011年までは、収益の85%がリードジェネレーションと広告によるもので、残りの15%は保険契約の販売によるものでした。
現在では、収益の85%が電子商取引と保険契約の販売によるものです。 ポリシーバザールは、2020年度の売上高が66%増の7,000万ドルとなりました。
【Policy Bazaar(ポリシーバザール)の将来性】
市場規模の予想
インドの保険業界は、2021年までに2,800億ドル(約30.5兆円)規模になると言われています。
一方で、インドの保険普及率(GDPに占める保険料の割合)は3.69%(2017年)にとどまっており、インドの人口の大半は、保険に加入していません。
マーケットの成長はかなり期待できるのではないでしょうか。
競争優位性
大手の保険会社は、依然として紙ベースの書類に依存しており、顧客ニーズより従業員を優先する旧来型のソフトウェアを使って業務を行っているところが多いようです。
インドのインシュアテックは下記の通り、たくさんあります。(図は参考文献4)より引用)
収益性を気にする必要のない巨大な国営企業もある中、インシュアテック企業は、顧客ニーズに敏感で、リスクテイクに積極的で、かつイノベーティブな企業体質であることが特徴的です。
インシュアテック企業はPolicyBazaarだけでなく、CoverFox、EasyPolicy、PolicyAdvisor、Acko、など競合他社が多数あります。
チャットボットをはじめとするカスタマー・エクスペリエンスの改善でサービスの質を高め、国営企業に対しても、競合他社に対してもどれだけ勝ち目があるか、今後注目です。
【Policy Bazaar(ポリシーバザール)の課題】
Policy Bazaarによると、お客様の惰性が最大の課題の一つだとのこと。代理店から保険を購入する習慣を持った人々に、どうやってオンラインで保険を購入するように仕向けるか。
また、もうひとつの課題は、ほとんどのインド人が保険を単なる節税ツールとしてしか見ていないこと。
保険の販売は1〜3月に集中しているようですが、節税以上に、「不測の事態に備える」という意味を理解している人はまだ少ないといいます。
インドでは日本と異なり、国民皆保険制度が存在しません。公的医療保険制度の対象は国民の一部に止まっており、それ以外の人々は個別に民間の医療保険に加入しなくてはならないのが現状です。5)
富裕層は民間の医療保険に入ることができていますが、これまで対象外だった、無保険の中間層~低所得者に向けていかに適切な医療保険をリコメンドできるかだと思います。
まとめと所感
インドのインシュアテック、Policy Bazaar(ポリシーバザール)について紹介しました。
インドという国のGDPの今の加入率が3.7%であることから、「そもそも保険制度を知らない」層、「今まで保険制度を利用できなかった」層をどれだけ取り込んでいけるか。
発展途上かつ人口の多いインドで、AIを活用し、先んじてデータを取っていく企業として、成長が期待できますね!
それでは、アロハ~♪
参考文献
1) Baiju Kalesh, “ソフトバンクG出資の印ポリシーバザール、年内IPO実施も-関係者”, Bloomberg. 2021年4月7日. <https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-04-07/QR6DWYT0G1L801>
2) Chris Thomas, Sethuraman N R,”アングル:インドの若者が生保契約に殺到, コロナ感染死急増で”, Reuters, 2021年6月19日. https://jp.reuters.com/article/india-insurance-coronavirus-idJPKCN2DT0HL
3) “Success Story of PolicyBazaar- Online Insurance Aggregator”, ビジネス+IT. May 29, 2021. < https://www.sbbit.jp/article/cont1/36837>
4) “保険「未加入」率96.3%のインド、これからインシュアテックは爆増するのか”, ビジネス+IT. 2019.8.30. https://www.sbbit.jp/article/cont1/36837
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