こんにちは、モアナ母さんです。
我が家は、将来有望なAIカンパニーへの投資会社「ソフトバンクG」の株を2000株保有しています。
世界最先端のビジネスモデルを勉強するための、ソフトバンクビジョンファンドシリーズ。
第9弾となる今回は、インドのベビー用品向けEC企業のFirstCryを紹介します。
年間2500万人の子供が生まれるインドは、出生数は日本の28倍以上。 それだけでも市場規模に期待できますが、ビジネスモデルを含めてもう少し詳しく調べてみました。
【FirstCryの基本情報】
企業名 | First Cry(ファーストクライ) |
事業内容 | ベビー用品向けEC企業 |
創業 | 2010年、インド西部の学術都市プネーにて創業 |
創業者 | Supam Maheshwari氏とAmitava Saha氏 |
展開国 | インド |
SVF出資額 | 4億5000万ドル(約480億円)(~2020年) |
評価額 | 12億ドル(約1300億円)※FirstCry独自の予想値 |
OYOと並ぶ、インド発のユニコーン企業です。
これまた優秀な創業者です!
【Supam氏の経歴】
Supam Maheshwari氏はインドで最も権威のある教育機関の1つであるIIMアーメダバード(Indian Institute of Management Ahmedabad)の卒業生であり、Delhi College of Engineeringのエンジニア、さらに、インド最大級の物流会社であるXpressBeesの共同設立者です。
FirstCryの共同設立者でありオーナーでもあるSupamは、2010年、インドではベビー用品や子供用品をオンラインで購入する方法が限定的だったので、出張で訪れた国で息子に必要なものを買っていました。
そして、インドの親が世界中の最高のベビーケアブランドにアクセスできるようなオンラインプラットフォームがインド市場で大きな可能性を秘めていることに気づき、FirstCryを創業。
2000年に、Brainvisa Technologies Pvt. Ltd.というインド最大級のeラーニングベンチャーの共同創業者兼CEOを務めていたので、シリアルアントレプレナー(連続起業家)ですね。
【FirstCryのビジネスモデル】
オムニチャネルでの販売展開
FirstCryは、オンラインとオフラインの双方で販売を広げてきました。
いわゆる「オムニチャネル」の手法を使うことで、商品情報・在庫情報・顧客情報が統合できる戦略です。
顧客の一次情報をAIで学習させれば、需要予測までできるから強いと思います!
ECサイトの製品カテゴリーは、おむつ、授乳・食事、スキンケア・ヘルスケア、おもちゃ、衣類、靴、ファッションアクセサリなど、赤ちゃんや子供を対象にした、約1200の国際およびインドのブランドから90,000点以上の商品を取り揃えています。
FirstCryは、毎月7万人以上の親御さんに「FirstCry Box」をお届けするユニークなプログラムを実施しています。
国内の6,000の病院で出産したばかりのママに無料提供している、ギフトボックス。中にはおむつやベビーオイルなど、育児に必要となる基本的なものが入っています。それをきっかけに、FirstCryの利用者も増えていくのでしょう。
フランチャイズモデルを導入
オンラインでの大きな存在感に加え、インド125都市で400以上のフランチャイズ店を展開。
海外ブランドを含む、幼児・児童向けアパレルや学童用品等、様々なベビーケア用品を販売し、最近ではドバイ(アラブ首長国連邦)でも事業をスタートさせています。
フランチャイズモデルを利用し、企業側が出資する初期費用を安く抑えながら、店舗数を増やしていくことができますね。
インドのように国内での地域差(GDPや文化など)が大きい場合は、フランチャイジーを活用しながらロイヤルティーを徴収した方が安定するのかなぁ。
保育施設「FirstCry Intellitots」の開設
2019年、FirstCryは、保育フランチャイズ事業の「Oi Playschool」を買収し、保育施設「FirstCry Intellitots」を開設しました。
FirstCry Intellitots は、本拠地のハイデラバード、バンガロールでフランチャイズ方式の55の保育施設(プレイスクール)を運営しています。
2019年の時点で、今後5年間で1000以上の保育施設をインド全土に開設する計画だそうです。
インドでの保育(就学前教育)市場はいまだ断片的みたいだし、参入企業が少ない現状では、チャンスかも!
FirstCry Intellitotsは、「最高の幼児期の学習体験を提供することで、すべての子どもを幸せにし、明日の世界に向けて準備する」というビジョンの下、インドで最も急速に成長しているプリスクールチェーンとして認められています。
ここでの教育スタイルを一部、訳して紹介します。
数学の概念が入っているところがインドらしいね。テクノロジーを幼児教育から取り入れるところは先見の明があるようにも感じられるなぁ。
現実的、感覚的、刺激的な学習体験を与えるというスタイルが興味深いの。
「” farm party with live animals”=生きた動物と農場パーティーをやる」とか!
親のコミュニティサイト「FirstCry parenting」の運営
「FirstCry parenting」は、子育て手助けする記事やQ&Aにより作られたインド最大の親のコミュニティです。
毎月約1,300万人のユニークユーザーが訪れ、プラットフォーム全体のエンゲージメントは毎月9,200万人に達しています。
この記事は、自らの経験に基づいたストーリーやQ&Aに対するコメントを一般で募集しています。
赤ちゃんの人気の名前ランキングや、赤ちゃんのためのレシピなど、妊娠中や育児中のママにとっては気になる記事ばかり!
記事の善し悪しをFirstCryが監督していて、評価の高いモノに関しては報酬の制度があるようです。
さらにFirstCryに認められれば、当社の正式なライターとしての採用も可能みたいですよ。
妊娠中や、育児中って些細なことで不安になったり、人とのネットワークを求めたりするので、コミュニティーは広く拡散していくと思いますし、それをきっかけにECサイトや保育施設に呼び込むチャンスにもつながりそうですね。
【FirstCryの将来性と課題】
インドのベビーケア分野は巨大で有望です。しかし、その課題は、市場が組織化されていないのが現実。
だからこそ伸びしろがあるともいえそう。
実際に、2017年度に、INR 240Cr、2018年度に355.2Crと48%の増収でした。
2019年度の収益が、INR 535 Cr(約79.7億円*)で、2020年度には2033Cr(302.9億円)の収益を見込んでいると予想しています。 *インドルピー1.49円で計算。
FirstCryは、巨大な市場プレゼンスを持っており、「ベビーケアといえばFirstCry」という位置づけに近づいているといえそうです。
一方、急速にインターネットの普及が高まっているインドでは、他社EC(Flipkart(インドのECサイト市場1位)やAmazon Inida)の存在が競合となってくるでしょう。
子育てコミュニティーの強みでどれだけシェアを先取りできるか、にかかってる気がする。あとはインドという国の規制が特徴的だから、他国の参入は一筋縄ではいかないかもしれないね。
まとめと所感
今回は、インドという不透明性が高く、市場も未開拓な部分が多い国での、ベビー・子育て用品に特化したEC事業を展開しているFirstCryを取り上げました。
自分が経験しているだけあって、非常に興味深い会社でした!
誰もが身近に感じてもよい「子育て」だけど、インドのマーケットはまだ組織化されてなさそうだし、可能性は大きい気がします!
今後の展開に注目です。
アロハ~♪
参考文献
1)「バンガロール経済情報」, 2019年12月21日, https://bangalore-news.com/archives/2825.
2) ”FirstCry: One-Stop Platform For All Baby Care Products”, Jan 25, 2021. https://startuptalky.com/firstcry-success-story/
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